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揺れない船

 水に浮かぶ物体は波やうねりを受けると揺れます。船も同じで、揺れがつづけば乗組員や乗客が船酔いをしてしまいますし、貨物をいためてしまうことにもなります。

 そこで揺れをできるだけ減らす装置が発明されています。たとえばビルジキールです。これは船底と舷側のさかい目に、魚の腹びれのような細長い板をとりつけるものですが、簡単なしくみのわりには効果があり、砕氷船などの特殊な船をのぞいてほとんど全ての船につけられています。

 フィンスタビライザーは船底の横から翼をだして揺れを減らすもので、1920年に日本の技術者が発明しました。現在はコンピュータで翼を動かして、70~90%揺れを減らすことができ、ほとんどの客船やカーフェリーなどにつけられています。

 揺れない船を造るこころみもおこなわれてきました。たとえば船体から翼をのばして走る全没翼型水中翼船は、2.5mぐらいまでの波ならほとんど揺れません。ジャンボジェット機のボーイング社が開発し、ジェットフォイルの名称で、日本では新潟~佐渡島などで走っています。船体と客室をわけた船もあります。

 海中深く潜る潜水艇や潜水艦は波やうねりを受けないので揺れません。これに着目して潜水貨物船のアイデアもありますが、まだ実現はしていません。

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