第1回海洋文学大賞作品の決定について(H9.6)

募集期間 平成8年7月20日~平成9年3月31日
募集結果 応募総数840点 (小説部門281点、ノンフィクション部門93点、童話部門466点)

受賞作品

小説部門

大 賞

「ラ・プンタ」
松本十九(千葉県千葉市)

優秀賞

「迎え火」
大浜のり子(北海道登別市)
「海の幸」
有馬すえみつ(東京都世田谷区)

次 点

「帆翔 アホウドリ」
三上悦雄(茨城県つくば市)
「ワイヤーフレームの船」
鈴木大介(静岡県浜松市)

ノンフィクション部門

大 賞

「島へ」
片平恵美(埼玉県朝霞市)

優秀賞

「浜田国太郎と 船員最初の労働争議」
井出 孝(茨城県藤代町)
「叫べ! 咸臨丸」
合田一道(北海道札幌市)

次 点

「キャプテン・コミネ」
岩本洋光(東京都豊島区)

童話部門

大 賞

「こだぬきダン海へ行く」
森田 文(埼玉県日高市)

優秀賞

「海ぼうず」
斎藤ヒサ(秋田県本荘市)
「うみは うみいろ」
川北亮司(埼玉県飯能市)

次 点

「くじらのオーさん」
村上ときみ(東京都東久留米市)
「うみにふるゆき」
みやかぜひかる(山口県山口市)

大賞受賞者プロフィール及び大賞作品あらすじ

小説部門 「ラ・プンタ」

受 賞 者

松本十九(まつもと・じゅうく 本名=松本尚人)
男性、1962年千葉県生まれ。ロンドン大学演劇学科修士課程卒業

あらすじ

メキシコのラ・プンタ岬へ旅行中のバスの中で盗賊にあい身ぐるみはがされ、文無しになった16歳の太郎は、岬に近い海岸で半分に欠けたサーフボードを拾い、それが縁で地元のまずしい姉弟の家に転がり込む。割れたボードで波乗りをしているとき、アメリカ人のサーファーに会い、本格的にサーフィンにひかれて行く。麻薬密売人という噂のあるそのアメリカ人の言動、まずしいメキシコの人たちの生活が、文無しの太郎の身の処し方とからまって過ぎて行き、ラ・プンタにビッグウエイブのたつ9月を迎えた。太郎は一人、その大波に向かって行った。

ノンフィクション部門 「島へ」

受 賞 者

片平恵美(かたひら・えみ、本名同じ)
女性、1965年愛媛県生まれ。成蹊大学文学部卒業、主婦

あらすじ

父親が転勤族だったため、作者は生まれた島にたった1年しかいなかった。その生まれ故郷の島へ作者は小学校2年生の夏にもどる。その島には、島であるが故に心やすらかな日々の生活があり、海や山が身近にあり、作者は島ならではの体験を重ねて成長していく。そこへ突然、島民すべてが島をはなれなければならない事態が起きる。小学校も閉鎖されるという噂が流れる。銅の精錬で成り立っていた島に、精錬所のリストラが行われたため生じた大転換であった。島民はつぎつぎに島を離れ、その島はついに無人島に。いま訪れることもままならない。

童話部門 「こだぬきダン海へ行く」

受 賞 者

森田文(もりた・ふみ、本名同じ)
女性、1933年大分県生まれ。武庫川女子短期大学卒業、主婦のかたわら童話を創作活動中

あらすじ

海を見たことのないこだぬきダンは夏休みに海辺のおじさんを訪ねる。ちょうど島への郵便配達から帰ってきたおじさんと海辺で出会う。そのとき浜に打ち上げられたイルカを助け海にもどした。船で郵便配達をするおじさんの船に乗っているとき海におちたダンは、こんどはイルカに助けられ泳ぎを覚える。様々な貝を見、海の自然に触れたダンは、家に帰ることになったとき、家から持ってきた小瓶に海の水をつめて持って帰ったのだった。