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船の主機とさまざまな機器 ~主機/補機/その他~
~ 主機 ~
船に搭載されるさまざまな機関・機械のうち、ディーゼル機関などプロペラを回して船を進めるためのものを主機関といいます。主機関にはディーゼル機関、蒸気タービン機関、電気推進、原子力推進などがあり、それぞれ船の用途に応じて選ばれます。
■ ディーゼル機関
ディーゼル機関は現代のほとんどの貨物船や客船で用いられる代表的な主機関です。シリンダーの内部で高温高圧の圧縮空気に燃料を噴射して燃焼させ、その力を直接ピストンに伝えて動力を生み出す仕組みです。ディーゼル機関の特長は蒸気タービンに比べて燃料消費が少なく、当初は馬力の点で蒸気タービンに劣っていましたが、性能も向上し、大型船の主機関として十分な出力が得られるようになり、舶用機関の中心的な存在となりました。
ディーゼル機関は、回転数によって高速ディーゼル、中速ディーゼル、低速ディーゼルに分けられます。船の主機としては、回転数が毎分300~1,000回転の中速ディーゼルと、毎分300回転以下の低速ディーゼルがおもに使われます。一般的に推進効率は、スクリュープロペラの場合低回転の方が高く、このため低速ディーゼルの回転数は毎分100回転前後に押さえられ、また、中速ディーゼルの場合は減速ギアにによって回転数を落として使われます。

■ 蒸気タービン
蒸気タービンは比較的簡単な構造で、高い出力が得られる点が特長で、出力の割にはサイズもコンパクトです。そのため高速が要求される駆逐艦などの軍用艦や、大きな馬力を必要とする超大型タンカーなどで利用されています。欠点はディーゼル機関に比べて燃料消費量が多い点です。
蒸気タービンの仕組みは、翼のついた回転軸の軸方向に高温・高圧の蒸気をノズルから勢いよく吹きつけて翼を回し、軸を回転させるというもので、風車に息を吹きかけて回すのと似ています。船の主機関としての蒸気タービンは、一般に高圧タービンと低圧タービンの2つの部分で構成され、効率よく馬力を生み出せるようになっています。
■ ガスタービン
ガスタービン機関は高出力を出しやすく、構造が簡単で保守がしやすい、本体が小型で機関室のスペースが小さくてすむ、運転操作が容易で遠隔制御がしやすい、冷却水がいらない、振動が少ないなどの長所がある一方で、燃料消費が多い、機関本体の製造費が高いなどの短所があります。
ガスタービンの仕組みは、数気圧まで圧縮された空気を燃焼室に送り、そこで噴射された燃料を燃やして、1,000℃ほどの燃焼ガスを発生させ、このガスを翼に吹きつけて回し、その回転を推進に利用するものです。航空機用や産業用に使われるものが主流ですが、それらに改良を加えたものが船舶用ガスタービンとして利用されています。近年では、蒸気タービンに代って、軍用艦を中心に広く普及しています。
■ 電気推進
電気推進はディーゼル機関などを使って発電し、この電力によってモーターを回す方式です。プロペラの回転方向や回転数が簡単に変えられることから、前進・後進をひんぱんに繰りかえす砕氷船などによくもちいられます。日本の南極観測船「しらせ」もこの方式です。また、発電した電力をバッテリーに蓄えておけば、水中でもモーターが駆動できるため、潜水艦の主機としてももちいられます。
■ 原子力推進
原子力推進といっても、原子炉そのものが直接プロペラを回すわけではありません。原子炉は蒸気を発生したり発電したりするための熱源としてもちいられ、そこで発生した蒸気や電気で蒸気タービン、モーターを回す方式です。原子炉は少量の燃料で長期間運転ができ、また、燃焼用の空気を必要としないので、潜水艦を中心に、主に軍用艦艇にもちいられています。
船には主機関以外にも、主機関を運転するために必要なポンプや発電機など、さまざまな機関・機械が搭載されています。これらの各種補助機械は補機と呼ばれ、燃料系統関係、冷却水関係、補助ボイラーなどに分類されます。
~ 補機 ~
■ 燃料系統の補機
大型船の燃料は重油を使用しており、その燃料タンクは、機関室から遠く離れた船底の二重底部分などにあるのがほとんどです。そして燃料はタンクから主機まで移送される間に、多くの補機を経由します。まず、燃料は燃料油移送ポンプを経由し、燃料油沈降タンクに入れられます。ここで燃料を加熱して粘度を下げ、燃料に混じっている不純物を沈殿させます。さらに燃料油清浄機に送られ、遠心力を利用した方法で不純物を取り除きます。こうしてクリーンになった燃料油は、常用油タンクに蓄えられます。そして燃料油ブースターポンプで加圧された後、主機の一部である燃料油噴射ポンプでさらに圧力が加えられ、最後にシリンダー内に噴射されます。
ディーゼル発電機 様々な機器が並ぶエンジンルーム 燃料ポンプ
■ 潤滑油・冷却水関係の補機
ディーゼル機関では燃料が絶えずシリンダー内で爆発し、ピストンが激しく運動するため、きわめて高温になります。熱と摩擦によってピストンやシリンダーが摩耗するのを防ぐため、シリンダー内面には潤滑油が噴射され、また、燃料弁やシリンダーは清水(真水)と潤滑油によって冷やされます。熱をもった清水は海水によって冷やされ、再利用されます。このような仕組みがあって、ディーゼル機関は長時間の運転が可能になっています。これら潤滑油や清水、海水を移すための補機が潤滑油ポンプ、主冷却清水ポンプ、主海水ポンプなどです。
■ 補助ボイラーなど
船内では燃料の加熱、調理、給湯、暖房などのために大量の蒸気が使われます。このため主機関にディーゼル機関をもちいている船でも、船内で使うための蒸気を造る必要があります。そのための補機が補助ボイラーです。また、最近の船ではディ-ゼルエンジンから出る排気ガスの熱を、排ガスエコノマイザーを使って船内の熱源として利用する方法もよくもちいられます。
■ 造水器
船内では主機の冷却用から飲料水まで、たくさんの清水(真水)が必要です。通常、飲み水や調理用には陸上から補給した水が使われますが、冷却水やトイレなどの水は、造水器でつくられた水が使われます。造水器は真空状態のタンクの中に海水を入れて熱し、沸騰した蒸気を海水で冷却して蒸留水をつくる仕組みで、1日数10トンの清水をつくることもできます。
■ 発電機
船内では照明、航海計器、各種のポンプなど、さまざまな機器・装置が電気で動くようになっています。このための電力も船内でつくられます。発電にはディーゼル発電機のほか、主機によって動く主機駆動発電機、排ガスエコノマイザーでつくられた蒸気を動力とするターボ発電機などがあります。
~ その他 ~
代表的な推進器がスクリュープロペラです。スクリュープロペラが船を進める原理は、木ねじが回転することで木材の中に食い込んでいくのと同じです。スクリュープロペラの1回転で進む距離をピッチと呼んでいます。ピッチの設定は主機の出力と大きく関係し、主機の馬力が十分に生かせるように決められます。スクリュープロペラには、ピッチが固定された固定ピッチプロペラと、ピッチを自由に変えられる可変ピッチプロペラがあり、可変ピッチプロペラは、プロペラの角度を変えるだけで主機の運転状態を変えずに速度を変化させたり、前進後進を変えたりできる特長があります。
その他に、プロペラの後ろに水流で反対方向に回転するプロペラをつけた二重反転プロペラ、プロペラの周りにノズルをつけたコルトノズル・プロペラなど、推進効率を高める工夫をしたプロペラもあります。また、プロペラ以外の方式として、船尾から海水を噴射して進むウォータージェット推進などがあります。

■ 舵とサイドスラスター
舵は船の進路を一定に保ったり、方向を変えたりするのに欠かせない重要な装置です。出入港を頻繁に繰り返す短距離航路の客船などでは、小回りがきくように、舵の先端にさらに飛行機の翼のようなフラップをつけた舵など、さまざまな形状のものも登場しています。
高性能の舵とともに、操船性をさらに高めるために、サイドスラスターが普及しています。これは海面下の船体の左右方向にトンネルをあけてプロペラをつけ、プロペラを回して船を横移動させる装置です。

■ 航海計器
船が安全に航海するためには、位置や速度などを知るための航海計器が必要です。近年はエレクトロニクス技術の発達で、航海計器の電子化、高性能化が進みました。人工衛星を利用した衛星航法システムを装備した船では、自動操舵装置と合わせて、位置や速力などの情報をコンピュータで処理して、もっとも経済的なコースや速度を自動的に選びだすこともできます。
通信も人工衛星を利用した装置が普及し、陸上と同じように電話やファクシミリが利用できるようになっています。