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船員の仕事 ~船を動かす人々/海技資格の種類/船員への道/混乗船と日本人船員~
~ 船を動かす人々 ~
■ 船員の役割と分担
産業や暮らしを支えるさまざまな船も、それを動かす船員がいなければ、その役割を果たすことができません。
船員とは船に乗って働く人々のことを指し、職員(オフィサー)と部員(クルー)に分けられます。職員とは船長、機関長、通信長、航海士、機関士、通信士などを、部員とはその他の甲板員や機関員などをさします。職員は部員を指揮して船の運航全般にかかわり、部員は職員の指示のもとに、さまざまな仕事を行います。
外航貨物船の場合、職員と部員は、船の最高責任者である船長のもとに甲板部、機関部、無線部、事務部などを構成し、それぞれの役割を分担します。
甲板部は一等航海士を中心に、運航から貨物の積みおろし、船体の整備など航海と荷役に関するほとんどを行います。一度航海に出れば船は休むことなく24時間走り続けますから、その間は航海士と部員が一組になって、4時間ずつ交代で船の運航を監視します。
機関部は機関長を中心に、エンジンやボイラーなどの運転・整備、燃料の補給、電気・冷暖房設備の管理などを行います。外航貨物船のエンジンは運転時間が長く、長いものでは年間8,000時間にもおよびます。酷使されるエンジンを常に故障なく動かし続けるには、保守点検作業が欠かせないのです。最近のエンジンは技術革新、およびリモートコントロール化が著しいので、機関部は昼間8時間だけの作業体制で済むようになっています。
無線部は陸上や他の船との通信などがおもな仕事です。無線部のエレクトロニクス化の進展は急速で、海事通信衛星の利用で、陸上との交信が簡単にできるので、通信長1人だけで仕事を行うようになってきました。
事務部は船員の食事をつくることがおもな仕事です。食料の購入から調理までを行います。
船内の組織構成
一般外航貨物船の例

船長
甲板部 一等航海士 二等航海士 三等航海士
甲板長 甲板手 甲板員
機関部 機関長 一等機関士 二等機関士 三等機関士
操機長 操機手 機関員
無線部 通信長 二等通信士
事務部 司厨長 司厨手 司厨員
近代化船の例

船長 
甲板部  一等航海士  運航士  船舶技士 
機関部  機関長   一等機関士  運航士  船舶技士 
無線部  通信長  運航士 
事務部  事務部員 
~ 海技資格の種類 ~
船を安全に運航するために、甲板部、機関部、無線部、事務部の各部門の職員、部員が責任をもってそれぞれの仕事にたずさわっています。このうち甲板部、機関部、無線部の職員は、「海技従事者」という国が定めた資格が必要です。海技従事者の免状は1級海技士から6級海技士(無線部は3級海技士)まであり、それぞれの免状によって運航できる船の大きさなどが決まります。
船はどの海域を走ることができるかという、航行資格が決まっています。世界中の海を走ることができる遠洋区域、日本の近海を走ることができる近海区域、日本の沿岸に限り走ることができる沿海区域、入り江や湾、河、湖などのごく限られたところを走ることができる平水区域に分類されます。この分類と船の総トン数、エンジンの出力によって、乗るべき船員の資格と人数が決められています。ですから、遠洋を航海する数万トンクラスの大型タンカーやコンテナ船の船長として乗り込むには、1級海技士の免状が必要ですが、近海を航海する2~300トンの貨物船なら、4級海技士の免状でも船長として乗船することができます。

海技資格と役職の関係
5,000総トン以上、機関出力6,000キロワット以上の遠洋区域を航行する貨物船の例
職名 海技資格
船長1級海技士(航 海)
一等航海士2級海技士(航 海)
二等航海士3級海技士(航 海)
三等航海士3級海技士(航 海)
機関長1級海技士(機 関)
一等機関士2級海技士(機 関)
二等機関士3級海技士(機 関)
三等機関士3級海技士(機 関)
通信長1級海技士(通 信)
~ 船員への道 ~
職員として船に乗り組むためには、海技資格を取得することが条件ですが、そのためには専門の教育を受けることが必要です。教育機関としては外航職員を養成する課程を持つ大学と商船高等専門学校、内航職員養成のための海上技術学校があります。
商船職員の養成を行う大学は東京海洋大学、神戸大学の2校があり、高校卒業者を対象に、外航船舶の職員になるための課程が設けられています。4年間学んだ後、卒業後に6ヶ月間の乗船実習期間があります。そこで帆船日本丸や海王丸などでの遠洋航海実習を行い、国家試験に合格すると3級海技士の免状を取得できます。船会社などに就職すれば、遠洋区域を走る船の3等航海士、または3等機関士として乗り組むことができます。
商船高等専門学校は全国に5校あり中学校卒業者を対象に5年半の課程を経て商船大学と同じ資格が取得できます。
また、海上技術学校は全国に8校あり、中学校卒業者を対象にした修業年限が3年の本科と、高等学校卒業者を対象とした修業年限が2年の専修科があり、本科については卒業後6ヶ月の乗船実習を経て、専修科については卒業後すぐに4級海技士の国家試験受験資格が得られ、筆記試験が免除されます。
なお、部員として船舶に乗り組むためには、特に資格は必要ありません。

~ 混乗船と日本人船員 ~
陸上と同じように、船の上も運航、機関両面でさまざまなコンピュータ技術の応用など、技術革新が急速に進んでいます。その結果、より少ない人数で、効率的な運航が可能となり、日本の外航海運では乗組員数や仕事の分担の見直しなど、将来の日本海運を見据えた研究、取り組みが進められています。その成果として実用化されたのが近代化船です。
かつては大型タンカーなどの貨物船は、1隻あたり30~40名の乗組員が普通でしたが、現在ではわずか11名での運航も実現しています。このように少人数での運航が実現すると、航海士や機関士の仕事の内容も変化していきます。船長、機関長、1等航海士、1等機関士はそのままですが、運航士という職名が登場し、2等、3等の航海士、機関士の仕事を兼務するようになりました。また、甲板部、機関部の部員についても、船舶技士という名称にまとめられ、甲板部、機関部の両方の仕事を受け持つことになりました。
こうした職務の統合で少人数の運航が可能になったのに加えて、さらに船会社は国際競争力を保つため、混乗船の運航を進めています。混乗とは船員費の高い日本人船員の乗り組み数を押さえ、船員費の安い外国人船員を乗り込ませる仕組みで、安定した輸送力を維持していくために欠かせない方法です。
船の種類にもよりますが、船長、機関長、1等航海士、1等機関士が日本人、その他が外国人船員という組み合わせなどが多くみられます。日本の大手外航海運会社は、安定的に外国人船員を雇うため、海外に船員養成機関を設けるなどの体制を敷いています。