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私たちのくらしを支える外航海運 ~外航海運のあらまし/食糧自給と日本/加工貿易と日本~
~ 外航海運のあらまし ~
長い間続いた鎖国がとかれ、明治時代に入ると、日本は近代化への道を歩み始めました。その過程で、日本の海運会社は数々の優秀船を建造し、その規模を世界第3位にまで拡大していきました。しかし、第2次世界大戦によって2,500隻あまりの船を失い、日本の商船隊は壊滅的な打撃を受けたのです。残された外航貨物船はごくわずかで、客船にいたっては、現在横浜港に保存されている氷川丸ただ1隻というありさまでした。
日本の産業、経済を再生するためには、船隊の整備が不可欠なのはあきらかでした。 そこで、昭和22年(1947年)より、外航貨物船を中心に建造が計画的に進めらていき、産業、経済の発展にあわせて、急速に船隊の規模を拡大して現在にいたりました。 現在、漁船なども含めて日本の保有船腹量は、7,151隻、13,562千総トンで、世界で隻数で1位、トン数で第12位の規模です。 また、日本の外航商船は1,896隻、70,536千総トンで、このうち日本の外航海運会社が所有して運航する船(日本籍船)は99隻7,569千総トン、外国の船主から船を借りて運航する外国用船は1,797隻、62,967千総トンです。
平成15年の世界の貿易物資の量は約59億トンで、そのうち日本に出入りする量は約9億1,677万トンに達します。世界の貿易量の15%あまりが、日本に直接関係しているわけですが、この膨大な量の貨物のほとんどを運んでいるのが、日本の外航海運なのです。
このように外航海運は産業、経済を支える日本と世界を結ぶ太いパイプラインとなっています。近年は日本に原材料を輸入し、製品を輸出するといった従来型の加工貿易のスタイルから、数カ国で部品を組み立てて製品化するなど、国際分業と呼ばれる仕組みに変わっています。日本の外航海運もこうした流れに沿って、国際的な物流情報システムの構築、海上輸送とトラック、鉄道とを組み合わせた海陸一貫輸送などのシステムづくりに、積極的に取り組んでいます。

~ 食糧自給と日本 ~
日本の国土面積はアメリカ合衆国の約1/25、およそ37万平方キロメートルです。それに比べて人口が多いため、人口密度が高く、しかも国土の約2/3が森林のため、農地が少ないのです。このように人口に比べて農地の少ない日本では、日本人が必要とするだけの食料を、国内の農業生産だけではまかないきれません。米などの一部の農産物を除くと、外国からの輸入にたよらざるを得ないのです。
たとえば日本の伝統的な食品としてなじみのとうふ、なっとう、みそ、しょうゆの原料となる大豆は、ほとんどがカナダ、アメリカからの輸入にたよっていますし、そばの原料のそば粉も大部分が外国産です。肉や卵の多くは国内で生産されていますが、その牛や鶏を飼育するために必要な飼料用とうもろこしは、ほとんどが輸入です。また、日本は世界一の漁業国でしたが、現在は1982年に調印された国連海洋法条約という取り決めによって、200海里(約370km)以内の外国沿岸での漁業がきびしく制限され、その結果、遠洋漁業が衰退し、漁獲量も減少してきました。入れ替わるようにして外国からの魚の輸入が増え、えび、いか、まぐろ、さけなど、多くの水産物が輸入されています。
こうした状況から、1960年には全体で91%あった日本の食料自給率は、年々減って平成15年度は40%となっています。わたしたちの日々の暮らしを支えるのに必要な食料のほとんどが、輸入に依存しているのです。そしてこれら食料のほとんどが、外航貨物船によって輸出地から国内各地の港へ運ばれてきています。

~ 加工貿易と日本 ~
日本は世界でも1、2を争う鉄の生産国です。その一方で、鉄の原料となる鉄鉱石はほぼ100%輸入にたよる世界最大の鉄鉱石の輸入国です。また、製鉄用の原料として欠かせない原料炭も、そのほとんどを輸入にたよっています。ほかにもアルミニウム、銅、亜鉛、すず、ニッケルなどの鉱石や金属、プラスチックや合成繊維の原料ともなる石油など、日本の産業を維持していくために欠かせないさまざまな工業原料を、海外から輸入しています。こうして輸入した原材料を加工して、快適な生活を実現していくためのさまざまな製品をつくりだし、それらを世界に輸出することで、世界でもトップクラスの工業国となっているのです。日本の発展は原材料を輸入し、製品につくりかえて輸出する、加工貿易で成り立ってきたのです。
加工貿易国として発展してきた理由の一つは日本の地形です。海岸線が長く山が迫る地形が多いため、日本を代表する工業地帯のほとんどが海に面してつくられました。これらの臨海工業地帯は、海外から船で運ばれる大量の原料を受け入れるのに、適した条件を備えていたのです。もう一つは日本に天然資源が少なかったことです。そのため海外各地から、品質が良く安い原料を自由に買うことができたのです。そして、それらの原料は長距離・大量輸送にもっとも適した船によって、臨海工業地帯まで効率的に運ばれているのです。
日本の外航海運会社は、原料輸送に最適なさまざまなタイプの専用船、たとえば原油タンカーや鉱石専用船、クリーンエネルギーとして注目を集めているLNG(液化天然ガス)船など用途にあった専用船をたくさん建造し、原料輸送を安定的に効率よく運ぶことに力を注いでいます。これらの船の活躍が、加工貿易国日本を支えているのです。